2012/08/19

誰が外務省の反論を封じたのか?




日本の外交官を弁護する義理はないのだが、「仕事しろ!」「害務省」などと詰られているのを見ると、ちょっと気の毒に思う時もある。

ソウルの日本大使館前では毎週慰安婦支援団体がシュプレヒコールを上げ、最近では警察が取り締まらないので大使館前が無法地帯と化しているという話である。

今年来日した挺対協のユン代表は、慰安婦問題を解決したいという野田政権の意志を説明しに日本大使館から役人が挺対協の事務所を訪問している(主導権を握っているのは、韓国政府でなく挺対協)と語っていた。役人たちは、そんな条件では受け入れられないと、空手で帰されたらしい。ユンの話しぶりから、外交官にとってはさぞかし屈辱だったろうと想像する。

挺対協を反日団体と言い切る人も少なくない。そんな人々に辞を低くして説明に赴く。仕事であっても自分なら耐えられない。そして、国に帰れば代議士の先生がたから叱責されるのである。

西岡力が先日のニコ生で興味深い話をしていた。

西岡力: さすがにこの時は、外務省はですね、クマラスワミ報告に対して、採択する直前に40ページに渡る事実関係に踏み込んだ反論文書を出したんです。ところが、それが突然撤回されちゃうんです。で、これはぜひ(片山さつき)先生にも国政調査権を使ってですね、なんで文書が撤回されたのか。当時橋本政権ですね。社会党が与党ですよ。

片山さつき: (メモを取りながら)「自社さ」ね、はい。

西岡: で、戸塚(悦朗)弁護士なんかが書いてるものだと、外務省は事実関係で反論してきてケシカランと。日本国内で論議しなきゃならない、日本の政治家が動かしてると書いてるんです。ある面で外務省だけの責任ではなくて、政治の責任ね、外務省もそこでは頑張って、さすがに吉田清治の証言が引用された文書を国連で採択されることについては反論したわけです。でもこの文書、非公開ですよね。ないことになっちゃってる。

で、それで、その文書の代わりに、日本はすでに謝ってますと、アジア女性基金も作りましたという文書に差し替えた。それ以降、日本政府の国際社会に対する公式的立場は・・・

池田信夫: ずっとそれですよね。抵抗しないで、もうこれは終わってるんですっていう話ですよね。

西岡: そしてそれがですね、アメリカに飛び火したわけですよ。


外交官の反論を封じたのは誰か?外務省の上層部か、政治家か。大使館前に慰安婦像が建てられるのを黙って見ていた大使館員を非難する片山だが、当時橋本政権下の誰が外務省の反論を封じたのか、明らかにして欲しい。