2012/05/13

自民党議員NYに乗り込み慰安婦の碑に反論するも・・・



津田一郎は、新潟出身、元麻生太郎の秘書で、2007年に参議院議員として初当選。アメリカ留学の経験もある。この度、ニュージャージー州パリセイズパーク市に立てられた「慰安婦の碑」に対する抗議の為に現地に飛び、市長と面談した。その時の事を彼はブログで公表しているので、ちょっと見ていこう。

我々は「戦争当時に『慰安婦』の名前で民間業者が売春婦を雇っていた事実はあるが、政府や軍が関与したことはない!20万人が帝国政府軍に拉致されたというのは全く事実と反する!」と強く抗議しました。

気持ちは分からないでもないが、実のところそういう問題ではないし、そういう議論では国際社会は説得できない。そして何より、詰めも脇も甘い。

まず、そういう問題ではないというのは、慰安婦の数や日本軍により拉致されたか否かより、もっと本質的な問題として、パリセイズパーク市のこの慰安婦の碑が民族的偏見やヘイト(hate 憎悪)を煽ることを目的としたプロパガンダの一貫として建立されたという事実である(実際に建立運動に携わっている個々人の動機は関係ない)。ヘイト・スピーチやヘイト・クライム(犯罪)は、多民族国家であるアメリカでは許されないこととされている。韓国やアメリカの研究者の中にも韓国の政治団体が主導するこの「日本軍性奴隷制」キャンペーンをジャパンバッシングとして批判的に見ている人はいる。そういった人々の意見を英語に訳してパリセイズパーク市側に読ませればいいのである。実際に英語の本も出ているのに、なぜそれを活用しないのか?最低限、この問題が日本と韓国という二つの国の間の非常にデリケートな政治問題であるという事を理解させれば、第三者としてのアメリカ社会は慎重にならざるを得ないのである。


慰安婦の碑と津田一郎参議院議員
留学経験のある津田は米国流を承知のはずだが・・・


慰安婦の強制連行(徴用)論争が強制連行派の敗北に終わってしまった日本だから、日本側が歴史的事実に拘るのは仕方ないのかもしれない。

しかしである。事実を訴えて日本側がこれまで一度でも成功したことはあったのか?司法の場でも学会でもない場所での争いでは、しばしば情が通れば理屈は引っ込むのである。最大の敗北は2007年のアメリカの慰安婦決議であったが、この時も日本の政治家や有志によりアメリカの新聞紙上に掲載されたThe Facts(事実)というタイトルの意見広告が裏目に出た。これにより日本を擁護していた議員たちも、日本をフォローしきれなくなり、結果的に決議案採択の引き金を引いてしまった。その時のことを元オランダ大使東郷和彦は悔いをもって書き記している

塚田らは、失敗から何も学んでいないようである。日本の保守派は、情に客観的事実で対抗しようとしても勝てないというのが理解できない(今回も、産経の取材に対し副市長は「まずは韓国で被害者に面会すべきだ」と反論?したという)。だから何度でも突進しては同じ失敗を繰り返す。


2007年、東郷元オランダ大使は
空気の読めない日本の保守層に足を引っ張られた


産経新聞によれば、パリセイズパーク市の市長は面会のあと地元メディアに「彼ら(日本の議員たち)は歴史を変える使命を帯びているのかもしれない」と述べたらしい。誤解を解くどころか、「歴史を歪曲する日本」というイメージをより強固なものにしてしまったようだ。2007年の時と同じく、状況を悪化させただけで終わったのである。韓国側はさぞかし喜んだだろう。

日本の憂国議員たちのバンザイ・アタックは常に反日勢力のいいカモになっている

一方で、同じく市長と面会した韓国の国会議員は韓国のメディアにこう語っている。「政府よりも民間の人権運動として対応するのが効率的だという意見もある」。成果を得る為にはどうアプローチしたらいいか、彼らはよく究している。

事実といえば日本側の論者の脇の甘さは相変わらずで、「民間業者が売春婦を雇っていた事実はあるが、政府や軍が関与したことはない」。本当にこの通り発言したとすれば大嘘である。彼女たちは軍の要望があって慰安婦として働いていたのである。こういう詰めの甘さがどういう結果をもたらすかは、安倍晋三首相の失敗を見れば明らかだろう。安倍が迂闊な言葉を口にした為に揚げ足を取られたのは、津田が初当選した2007年ではなかったのか?

慰安婦決議は安倍総理のお陰と言った121連合のアナベル・パク
日本の政治家の失言は常に敵を利して来た


ただ、塚田らの訪米が全てマイナスだったと判断するのはまだ早いのかもしれない。


「慰安婦の碑」に強く抗議

北米時間、7日あさ5時過ぎ、ニューヨークのホテルでこのブログを書いています。

初日の6日、ワシントンDC到着直後、国内線に乗り換え「特別ミッション」のために山谷議員、古屋議員とともにニューヨーク経由でニュージャージー州に向かいました。

韓国ソウルの大使館前に「慰安婦の碑」が建てられたことは知られていますが、実は米国のニュージャージー州のパリゼイズ・パーク市の公立図書館前にも同様の碑が建設され「日本帝国政府の軍によって拉致された20万人以上の女性と少女」と記されています。

この事実と全く異なる内容について抗議するため現地に向かいました。

マンハッタンから車で約30分、パリセイズ市に入ると町中の店の看板にハングル文字が書かれています。同市は住民の3分の1が韓国系で全米で最も多い地域の一つです。

韓国系の影響は経済のみならず政治、マスコミにも及んでいます。

はじめに訪れた図書館前では、韓国系のテレビカメラが待ちかまえていました。問題の碑(写真下)を確認してから市役所まで徒歩で向かいました。

市役所前でも韓国系メディアが大挙してテレビカメラを回しています。日系は産経新聞だけです。

会談は当方が古屋議員、山谷議員、現地で合流した竹本議員と私、先方がロトンド市長、キム副市長、リー市議会議長、ロレンソ管理官、クマール図書館長他のメンバーで行われました。

当初から市長の両脇を韓国系副市長と議長が固め「無言の圧力」をかけている様子が分かりました。

我々は「戦争当時に『慰安婦』の名前で民間業者が売春婦を雇っていた事実はあるが、政府や軍が関与したことはない!20万人が帝国政府軍に拉致されたというのは全く事実と反する!」と強く抗議しました

同市は3名の専門家や慰安婦から直接確認したことに基づき碑を建設したと説明するだけで事実を歪曲したことを認めようとしません。

2時間近く議論しましたが平行線のまま時間切れとなり、再度、双方が資料などを提出して確認することで会談を終えました。

今回の現地視察で韓国系アメリカ人が国への帰属意識を高めるために反日プロパガンダを政治的に利用していることが理解できました。

夜はニューヨークの大使公邸で現地の日本人学校の関係者の皆さん懇談しました。

私から廣木大使(ニューヨーク総領事)に「今後も米国内で韓国系住民により同様の動きが出る可能性が高いため外務省は十分に注視するべきである。」と伝えました。

帰国後、国会においても同様の問題提起を行います。

今朝8時のアム・トラックでワシントンDCへ戻ります。


産経新聞は日本側は市側と対照的に客観的な資料を提示したと書いているが、問われるべきは結果であって、自己満足など一文にもならない。しかし、この問題を取り上げてくれる産経新聞には感謝している。長くなるので、産経の記事については次回に譲る。